『泥流地帯』の舞台となった、上富良野町にある日新尋常小学校跡地。
JR富良野線 上富良野駅から車で15分ぐらい、クリーンセンターの先にある。
ごらんの通り、現在は跡地を示す木の標識が立っているだけだが、『泥流地帯』 『続泥流地帯』を読んだ後であれば、この景色のなかに拓一や耕作の姿を思い描くことができるのではないだろうか。むしろ、案内板などは無いほうがいいと思えた場所だった。(2022年4月撮影)
写真と文の提供・神楽岡マイさん
「日進小学校代表、菊川政雄殿」
と呼ぶ声がした。ひょろりと立った菊川先生の姿が見えた。参会者は一斉に菊川先生を見た。十勝岳爆発の日、先生は旭川に検定試験を受けに行っていて、留守だった。先生の留守に、学校も、校宅も、奥さんも、子供も流されてしまった。枯木が立ったような、先生のひょろりとした体が、前屈みに祭壇に近づくのを、耕作は胸のしめつけられる思いでみつめた。
『続泥流地帯』[村葬]より

Googlemapでは、同様の跡地が2箇所記されているが、ここで紹介しているのは奥側(地図での左)である(上富良野町企画商工観光課による確認済)。なお、災害後に移転した場所の敷地も、跡として現在も残っている。