1899(明治32)年に開設された、上富良野町の玄関口、JR富良野線上富良野駅。
『泥流地帯』では、石村拓一・耕作兄弟が母を見舞うためにこの駅から函館を目指して出発するが、残念ながらその願いはかなわず、失意の中戻ってくる様子が書かれている。
写真と文の提供・神楽岡マイさん
汽車が上富良野駅を出た頃は、汽車も汽車の煙も、雪原にあざやかに影を落すほどの天気だった。耕作は、網棚に押し上げた大きな五つの荷物を見上げる。あの中には、キワが夜業で縫った綿入の半纏もあれば、拓一がついた餅もある。
『泥流地帯』[氷柱](七)より
