旭川のシンボルともいえる旭橋。
昼夜問わず、いつ見てもその造形の美しさに目を魅かれる。
三浦綾子作品のなかでは、『果て遠き丘』の最終盤で、香也子が電話ボックスから「旭橋の下で、いますぐ薬を飲んで死にます」と四条教会に電話をしたり、「旭橋の下に女の人が倒れている」と虚偽の通報をしたりする。このあと、香也子の想いが書かれて物語は終わるが、ここをその舞台としたのは、何か深い意味があるのではないかと思える。
写真と文の提供・神楽岡マイさん
「あのう、旭橋の下に、女の人が倒れているんですけど」
「旭橋の下? ああ、いま教会の牧師さんからきた電話と同じ件かな。あなたのお名前は?」
一瞬、香也子は返答につまった。が、
「只野花子です」
とっさにでたらめをいって、電話を切った。
『果て遠き丘』[断線](七)より
