旭川駅からバスで40分ぐらいのところ、美瑛市との中間ぐらいにある旭川の空の玄関口である。新千歳空港に比べれば規模はだいぶ小さいが、レンタカーにすぐに乗れるとか、お土産屋さんの数が少ないから無駄遣いしなくて済むとか、いいところがたくさん。
なかでも「99%超」という就航率の高さは自慢していいと思う。
「果て遠き丘」では西島が出張に出かけるシーンや、仙台にいた章子が東京経由で戻ってくるシーンなど、何度か出てくる。
写真と文の提供・神楽岡マイさん
空港には人けがなかった。駐車場に車が一、二台あるだけだ。東京往復一日僅か三便の、このローカル空港は、こうしたひっそりとした時が、昼間でもある。一時五分に午後の第一便が発ち、このあと東京から着くのは三時三十五分で、西島は四時十分発に乗るのだ。
二人は並んで、空港前の芝生にすわっていた。旭川空港は市の南東十数キロの丘の上にあり、見晴らしがいい。大雪山の美しい山容が、起伏する丘の上に近々とそびえ、少し離れた右手に、十勝連峰が南に遠くつらなっている。眼下には青田が広がり、丘の斜面の落葉松林や、馬鈴薯畑の白い花がエキゾチックだ。
『果て遠き丘』[起伏](一)より
