稚内港北防波堤ドーム(わっかないこうぼうはていどーむ)

太平洋戦争が終了するまで、国鉄の稚泊航路(ちはくこうろ)が稚内と樺太(サハリン)の大泊を結んでいた。
現在の稚内駅から線路が北に延び、このドーム状の防波堤に沿うように稚内港駅が設けられ、連絡船利用者の便を図っていたそうである。現在はもう少し南に稚内港フェリーターミナルがあり、利尻島,礼文島への玄関口となっている。稚内市北方記念館や稚内市樺太記念館では、稚泊航路があった時代の写真や模型が展示されていて、そのころの様子がよくわかる。
稚内と樺太の間の最短距離は約43kmで、条件がよければ稚内公園やノシャップ岬,宗谷岬からは樺太を望むことができるぐらいの近さなのに、とても遠く感じるのは、単に国境があるとかそういうことではないような気がする(なお、サハリン島の南半分は、国際法上で所属未定地とされています)。
『天北原野』では、貴乃が命からがら貨物船に乗り込んで樺太を脱出するが、当初の行先であった小樽ではなく、ここ稚内に着いた。街も港も樺太からの避難者であふれかえっていたと描かれている。

写真と文の提供・神楽岡マイさん


 時計が十時を打った。
 貴乃は二階の窓を大きくひらいた。俄かに潮騒の音が部屋に入って来る。少し疲れを覚えながら貴乃は窓によって目をこらす。天気のよい日は、いつもそうするのだ。小高いこの山際の家から、稚内の細長い街が目の下に低く横たわり、その向こうに、青く明るい六月の海があった。その沖の彼方に、貴乃はじっと瞳を凝らす。

『天北原野』[海の墓](一)より


稚内港 写真・神楽岡マイさん

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